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【書評】ホワイトラビット  伊坂幸太郎著

圧巻!!!この一言に尽きる作品です。予測不能の籠城ミステリー。

【こんな人におすすめ!】

伊坂幸太郎好きはもちろんのこと、予測不能のミステリー好きは必読です。伊坂ワールド」は複雑に絡み合う時系列で構成されています。話の流れについていけるかどうか。「なんで…」「どうして…」こんな思いを持ったら最後。一気に読めます。

[あらすじ]

兎田は誘拐を生業とするグループの一員です。その日も部下を携えて仕事をしていました。日々順調な仕事でしたが、ある問題が起こってしまいます。折尾(オリオオリオ)というコンサルタントによって組織の金が詐取されてしまうのです。迫りくる返済期日。焦った組織は兎田の妻を誘拐し兎田に金の回収を命じます。

同じその夜高台の一軒家で人質立てこもり事件が発生します。やがて警察が駆け付け、特殊捜査班(SIT)の夏之目課長が犯人との交渉にあたります。逃亡不可能な状況下とんでもない要求が出されます。同時に泥棒事件も進み、伊坂ワールドの代名詞黒澤も登場してきます。時間を追うごとにすべての事件が一つに繋がりだします。

あらゆる箇所にはりめぐらされた伏線を追うごとに物語は驚愕の方向に進んでいきます。息子への、娘への、妻への、オリオン座への愛が交錯し物語の緊張感はさらに増大!!!伊坂ワールド全開の作品です。

[魅力的な登場人物が紡ぐオリオン座]

目まぐるしく変化する時系列。しかし、混乱することなくすんなりと物語に入っていけます。
それには登場人物たちの魅力的な個性が物語の中で大きく関係しています。それぞれの登場人物の個性がこの騒動をこのかたちにするうえで極めて自然に働いています。しかも中心となる人物たちは、それぞれ心のなかに秘密を抱えていたり、あるいは大切なものを失っていたりしています。人と人とのつながりの大切さや愛を改めて認識させてくれます。

また、作者が直接語り掛ける構成も圧巻です。作者と登場人物の語りの流れが、結びつかない点と点を結び付けています。まるで星座のように。
作中頻繁に登場する「レ・ミゼラブル」もその点を結んでいます。
随所にはさまれるレ・ミゼラブルと広大な星座の物語がすべてを包んでくれているような錯覚に陥ります。

[交差するオリオン座と愛]

オリオン座と愛がこの物語のキーワードです。星座の点と点を結んでいくように物語は展開していきます。その各所に様々な形の愛が散りばめられています。息子への、娘への、妻への、オリオン座への。まるで全力疾走するかのような物語の展開に息をのみます。

想像の域をはるかに越えた内容に圧巻の一言しか思い浮かびません。いつもの伊坂作品同様全く関連のない話が段々と繋がってきて、最後には一つになる。「レ・ミゼラブル」「オリオン座」「白兎」など様々なキーワードが組み合わさって物語が構成されているのはさすがです。

複雑な伏線がいくつにも張り巡らされているのですが、それを読み手が回収できるような描かれ方です。
相変わらず大どんでん返しを用意する伊坂ワールドに惚れ惚れします。

みなさんも一度騙されたと思って手に取ってみてください。はまりますよ!!!

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FUJIMOTO MASAKAZU

FUJIMOTO MASAKAZU

Webライター、書籍の執筆、HP制作、カメラマン、ディップアートクリエイター、キャリアコンサルティング、福祉の現場でメンタルヘルスサポーターなどで活動中。座右の銘は「好きこそものの上手なれ」  多くの人のはじめの一歩を応援するサイト →華雅Blog を運営中!

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